うちのふうふとエイトのこと。

黒トイプーのエイトや車。ふうふの日常について。

賢い人。

 

 ユヴァル・ノア・ハラリ氏「サピエンス全史」を読みました。中中に重たい内容の胸ふたがれる思いを読後に要する典籍で、壱読では理会を纏められません。其の上で、當書に依れば吾吾は兄弟姉妹たる類人猿や、多くの他種多種の生物を絶滅に至らしめた結句、食物連鎖の頂点を掌中にしたとの示唆に触れます。

 

 上世より寧ろ、近世に於いても戰争や一方的な殺戮は挙を枚するに暇がありません。妄誕無諧を畏れずに謂えば、ホモ・サピエンス=賢い人の肇始以来の信仰や哲学、最早道徳すらも、凡てジェノサイドやホロコーストの正当化を謀る理論なのではないかと疑懼してしまいます。

 デカルトは「方法序説」で、凡そ総ての概念が偽であると疑い尽くし、尚も其の疑いを手離さない自分だけは「眞」であると考えました。而して彼は、動物に至っては機械であると判断しています。機械なので、道具として「賢い人」の期待する機能を粛粛と消化することが役割期待です。実際にデカルトは生きたままに動物を解剖し、悲鳴を耳にしても「機械的な反応だから問題ない」と定義していたそうです。

 

 方今、海内には洋洋様様な主張があります。而して、資本主義のみが伸張すれば須く眞ではないのでしょう。社会主義共産主義全体主義も即断的に目を開く方が良いのかも識れません。

 嗚呼、むつかしい本を読めど、だんなの軽い脳味噌では賢くはなりませぬなあ。

 

 

 

 

 

 

 

雨、車軸のごとし。

 

 強い勢力を持つ颱風漆號が接近し、各地に様様な影響が出ているようですね。ふうふも大人しく陋居に篭居しています。

 未だ車軸を流すほど降り籠めてはいませんが、雨脚は段段と強くなるのでしょう。眼前の日乗に黙坐専念しようとしますが、雲の如く雑念が浮かぶ許り。いけませんねえ。

 いっそ降り籠められるならば、愛機も納まる車庫なぞ如何かなあ。「七つ下がりの雨と四十過ぎての道楽はやまぬ」。初老男の胸中にも、少年の頃に思い描いた「秘密基地」への憧憬がぶすぶすと燻っているのです。

 まあ所詮は夢の亦た夢「雨夜の月」です。何時か「旱天の慈雨」が降る天佑神助はあるまいか。あ、くれぐれも血の雨だけは降りませんように。

 

 

 

銘菓はひよ子の如くねぐらに舞い戻る。

 

 福岡県を創業地とする菓子舗「吉野堂」謹製の角のない和菓子、ひよ子。関東以北では「東京銘菓」と謳っているのは、同社の企業戦略に発するものです。中中に商売上手ですなあ。

 到底たる「ひよ子」は白餡ですが、本品は戮力協心する民放番組の題名に関連付けた黒糖風味の仕立です。風味絶佳、銘菓の名に見合った美味でありますから、何個でも戴けそうです。「呪いはひよ子の如く塒に舞い戻る」と謂いますが、此方のひよ子でしたら何度も舞い戻りたい。御馳走様でした。

 因みに、吉野堂では毎月14、15日を「ひよ子の日」と定めているそうです。

 

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立秋を過ぎてなほ。

 

 暦の上では秋だと謂うのに、續く酷暑が身に堪える毎日。兔の毛ほどの秋も見つかりません。抑、俳句歳時記だって季語「立秋」について斯様に筆誅を加えています。

秋の二十四節氣の一つ(八月八日頃)だが、この頃は一年で一番暑い。これから終戦忌、夏休みの後半を迎えるなど旧暦の矛盾を一番感じる

 太陰太陽暦は150年ほど前まで使われていたようですが、今や温暖化を通り越して沸騰化する地球には馴染まないのも致し方なし。立秋過ぎれば残暑ですが、何を謂う早見優。今こそ盛夏日盛り苦熱暑苦しいこと甚だしい。怠け者のだんなは層一層だらだらとへた果てるばかり。

 屹度、この炎熱では車も焼け火箸を當てられたような痛癢に相違あるまいと、弥縫ではあるが策を対することにしました。瓦斯倫添加剤の注入です。本當はワコーズのフューエルワンを購うつもりだったのですが、ちとばかしお安い此方にしました。モリドライブの「フューエルシックス」。うわあ、飛蝗物感が半端じゃねえ。如何読み筋を読み切っても、絵に描いたような「安物買いの銭喪い」ってぇ「さげ」にちげえねえ。

 いや、だんなも薄薄勘付いてはいたんです。でも余りにも暑いもんですから、只でも軽い脳味噌がすっかり干からびちまいまして。いけませんねえ。まあ所詮、此の類いは

偽薬効果に自己満足の折り目を付ける物と割り切ることにします。

 アルファロメオ4cスパイダーには申し訳ありませんが、だんなはおくさんの滋味で滋養を回生させて戴くと致します。

 

 立つ秋や涼味料る妻貴し

 (たつあきやりょうみりょうるつまたっとし)/拙句

 

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4cの上にも參年。

 

 アルファ4cスパイダー33(トレンタトレ)ストラダーレトリビュートと謂う滅多矢鱈に長たらしい名目の車に乗って、はや參年を経てました。初回搭乗時には「アクセルを踏まれど踏まれど進むまじ」と臍も旋毛を曲げていた彼奴も、手当をした後は臍は前を向き旋毛は天を向いて、順風満帆に快調至極。だんなの取った不覚がために、何度か蓄電器が全放電したことを除けば、ですが。

 実車を見ずに購うのが初めてなら、屋根が開く(と謂うか取れる)車に乗るのも初めて。結構はと謂うと、兎に角平べったくて短い。ために、人も荷物も載りません。重量は千瓩と軽いがために、燃費に優れタイヤもブレーキパッドも摩耗が少ないのは好もしい。複雑な曲面構成の外装に簡素で素気ない内装と、立体裁断で仕立てた別誂えの洋服の下は褌一枚、みたいな車。如何にもアルファロメオらしい。何時か「オールドアルファ」と謂われる日まで、大切に乗り續けたいと思っています。

 

 

 

讀書百冊義自ずから見る。

 

 薄い赤茶色をしていた今朝の空。だんなは寝惚けた軽い脳味噌で「あ、新潮文庫の本文紙の色だ」なぞ考えていました。老眼の進んだ身にも優しい紙色。やはり新潮文庫は良いなあ、と引き續いてヒプノポンピアから醒めずにくだくだしい事がまんじ巴に絡む裡に、今日は立秋だと唐突に思い至りました。新潮社が1976年から毎夏展開している啓蒙活動「新潮文庫の100冊」。今夏読了した本には該当する作品はありませんでした。

 100冊の選外ですが、坂本龍一氏の「音楽は自由にする」を読みました。氏は中学2年生にしてデカルトの「方法序説」を持ち歩き、友人と「ものの実在」について話していたそうです。稟性を天に授かりし天才とは斯くも光彩陸離たり得るのですねえ。だんなの様な凡夫には羨むことすら烏滸がましい。

 せえぜ、読書に恃むとしましょうか。「本とは手に抱える夢(ニール・ゲイマン)」ですから。

 

 

ジュリアに傷心。

 

 先頃、エイトが御侘びと御礼を申し上げましたが、革めて私だんなからも皆様のご厚情と御心遣いに深謝致します。当面は外報一時、不定期の更新となりますが、引き続きお付き合い戴けたら幸いです。

 納車から略陸箇月。アルファロメオジュリアクワドリフォリオ100th(チェンタイズィモと発音するのかしらん)アニヴェルサリオ(毎度長たらしい名前ですな。落語の前座咄でもあるまいし)を駐車場に停めて、用事を済ませて戻りましたところ。只ならぬ面持ちで此方に歩を詰めて寄り来るご婦人が。

 筋を追って話を伺うと、御自分の車を駐車場から出そうと後退した折に、うちのアルファロメオジュリアクワドリフォリオ100thアニヴェルサリオの右後部に打っつけてしまったようで。

 幸い小さな擦り傷程度で、自走にも差し障りは無さそうです。加うるに此方は無過失なのですが、とは謂え爾後の修理や諸諸を考えると憂悶の根は絶てず。

 嗚呼、寿限無のさげのように、該車の名前を連呼しているうちに瘤が引っ込んでくれればねえ。