布帛製飛行服の王、TYPE MA-1。はや40年もの昔、當時高校生だっただんなは「渋カジ」なぞ謂う惹句に踊らされ、赤ラベルのヘインズにリーバイス501ではなくLee201を履いて「MA-1タイプ」と差し詰め近間にある洋品店に吊るしてあったMA-1擬きの上衣を羽織るのが一張羅でした。皆さんお召しのアルファインダストリー謹製のやつはお銭が張りますし、売れ行きの足が速くて、ちと出足に躓いただんなの手には届きませんでした。まあ民生品ですから本物の飛行服って訳ではないんでしょうが、上等品の三本タグが見えるように畳んで脱ぐ輩が居たりして、肩身の狭い思いをしたもんです。MA-1は狭い操縦席でも動き易いように、肩身は広めなんですけれども。
爾して此方。おっとドッコイ、もといトイズマッコイが“ALBERTTURNER”社の実名ラベルを冠した「MIL-J-8279A」の完全復刻版、とお詳しい方の記事から寸借。昔は黒が人気だったけれど、豆殻茶と藍鼠の間あたりの色合いも好もしく目を惹かれ心奪われました。
あの頃のだんなに謂ってあげたい。「焦らなくてもあと40年くらい辛抱すれば良いのが手に入るよ」って。
飛び出た目の玉を探して洗って戻すまでに長いこと時間が掛かって、漸く財布尻を叩いたものですから、随分とおくさんを俟たせてしまいました。高い購い物でしたが、満足です。左肩の型染めが擦り切れるまで、いやそれ以上に着倒すんですから。