うちのふうふとエイトのこと。

黒トイプーのエイトや車。ふうふの日常について。

理想の車。

 

 車好きには各人夫夫、何時かは乗りたい一台や自分の理念に基づいて仕上げたい一台と謂うのがあると思います。勿論、予算や維持する上での種種の制約がありますから、誰もが其の理想の一台を手にすることは出来ません。理想は高く、現実は厳しい。諸諸折り合いをつけながらも、人生一度は乗りたい車への算段を放棄しないのが車好きの習いなのです。

 24歳で早逝したアルフレードフェラーリフェラーリ創始者であるエンツォ・フェラーリの実子です。アルフレードフィアットと協働でV型6気筒の内燃機を開発し、フェラーリとしては初めて運転席後方に積載する結構としました。彼の愛称「ディーノ」の紋章を冠し、レオナルド・フィオラヴァンティの意匠を纏った車は溜息を禁じ得ない美しさです。最早文化財と謂って良い。

 世の富裕層には好事家が多いらしく、此の重要無形文化財に等しい車を自分の「理想の車」にすべく大胆な改造をした方が居ます。これが凄い。先ずは、該車も極めて貴重なフェラーリF40の内燃機を調達し、更に排気量を拡大。328のギアボックスと360のブレーキを組み合わせ、極力フェラーリの純正部品を用いて3,000時間を掛けて、400馬力の自然吸気内燃機を心臓とする「フェラーリ・ディーノV8」を再構築したのです。お銭は然様乍、人脈や何より情熱が無ければ実現は難しかったでしょう。

 ディーノがフィアットと協働開発した内燃機関は、ラリーの王者と名の高い「ランチアストラトス」にも搭載されています。此の車も総生産台数492台と謂われ、極めて稀少且つ貴重な存在です。本當にラリーで勝つこと「だけ」を目的に産生された車両で、全長も前輪後輪の車軸間距離もホンダのフィットより短い。重量も同じくらいです。運動性能が低い訳がありません。

 愛車アルファロメオ4cスパイダーの縦横比、重量はランチアストラトスを超えていますが、近しいものです。「ディーノ」のV型6気筒内燃機は到底叶わぬ夢物語として、同じアルファロメオのブッソーネV6に載せ替えられないかなとか、矢張り何時かは跳ね馬を紋章に持つフェラーリやポルシェに乗ってみたいなぞ、車に関する妄想は病むことがあっても已むことはありません。

 環境問題を考慮すれば、多気筒内燃機関を動力とする車を「理想の車」とするのは愚かしい判断なのかも識れません。然は然り乍、だんなは工業製品では無い藝術としての要素が車にはあると思っています。スズキ自動車の鈴木修相談役は、種種の規制を課された軽自動車は「メーカーの努力の賜で芸術品だ」と仰っています。宜なるかな。理想の車には無数の選択肢がある。だから車は面白い。

 

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