うちのふうふとエイトのこと。

黒トイプーのエイトや車。ふうふの日常について。

ふつうに円安。

 

 26日の東京外国為替市場で、円の対ドル為替相場が149円台に下落したそうな。宜なる哉。

 1990年代以降に政府は円安政策を進めました。中国工業の台頭は日本の製造業にとって打撃でした。円安による企業利益の「嵩増し」と、ドルベースで日本の労働賃金を下げる「安売り」で産業構造を変えること無く、日本の大手製造業者復興を図ったのです。結果的には上手くいったとは謂えないでしょう。

 そして異次元の金融緩和です。お金をたくさん刷って国債を大量購入すれば、當然長期金利は下がり、外国との金利乖離が貨幣価格を下げる。ために、円安になります。加うるに、財政資金の調達コストも下がるので、国債に依存した補助金政策を進め易くなった(国債発行額自体は異次元緩和政策後も大きな変動は捉えられていない)。

 更に、物価が上がれば賃金も高くなると考えて異次元緩和を続けますが、物価上昇には一定の効果が確認できるものの、実質賃金は上がりませんでした。補助金と謂うぬるま湯に馴致した企業からはイノベーションは生まれず、當然に産業構造を変えるには至らず、経営方針すら革められたとは考え難いのです。

 近時、政府は民間企業の賃上げに介入していますが、継続的な効果については疑問です。賃金が上がるためには、労働者一人当たりの生産効率が改善されなければなりません。一方で、イノベーションが起これば、生産効率は上がりますが、労働力吸収力は低下します。加うるに、成長産業が労働生産性が高いわけではありません。一定程度成熟している企業の方が生産性は担保されています。

 ある企業の生産性・生産効率を上げるには如何すれば良いのでしょう。考えられるのは「不採算部門の閉鎖」や「低生産効率部門の人員整理」或いは「生産効率に応じた給与体系の適用」などでしょうか。慥かに労働人材は「流動化」していくかも識れませんが、賃金は上がるのでしょうか。

 日本は様様な分野で世界に劣後するようになってしまいました。少子高齢化への適切な対応もなく、此の侭では遠くない将来に「亜細亜の病人」と謂われるでしょう。

 抑、利子率は貨幣の価格と謂います。結句、今の円安は「ふつう」のレベルだと考えています。

 

f:id:eight8eight_888:20230927125611j:image