うちのふうふとエイトのこと。

黒トイプーのエイトや車。ふうふの日常について。

稼ぐに追い抜く貧乏神。

 

 円相場は対米ドルで一時150円まで下落し、その後乱高下しているようですが、だんなには気温の乱高下の方が応えます。今朝は冷え込みましたが、明日の最高気温は今日より5度も上がるようです。身体がついていけません。

 ついていけないのは、少子化財源の議論も同じです。今日の日経新聞朝刊に「加藤こども政策相、少子化財源『全世代で支える』と謂う記事もありました。政府は6月に社会補償費の歳出削減や既存の予算を活用し、国民や企業に広く負担を求める「支援金制度」の創設を決定しました。加藤政策相は「支援金制度の財源確保を目的とした消費税などの増税はしない」と明言しているそうです。仮に単年度の財源を賄えたとして、将来的に社会保障や健康保険の制度が維持できるのでしょうか。

 だんなの軽い脳味噌では論判がつかないので、野口悠紀雄氏の著書「プア・ジャパン 気がつけば『貧困大国』」からお知恵拝借させて戴きます。

 

これ(子育て政策の財源)に関しては、健康保険料の引き上げが提起されている。これは、医療保険制度を活用した支援金制度だ。健康保険組合国民健康保険、それに後期高齢者医療等を含めて、負担増を求める。

 

 つまり本来は将来の医療費支出のリスクに備える保険料を転用する訳ですが、

 

医療保険の保険料を医療費以外の目的に使えば、医療保険制度を根底から破壊することになる。

 

と謂う懸念が残ります。加うるに、野口氏は現行の「子ども・子育て拠出金」について二つの問題点を指摘しています。

 

「子ども・子育て拠出金」は、会社や事業主から「社会全体で子育て支援にかかる費用を負担する」という名目で、従業員の厚生年金保険料とともに徴収されている。

(中略)拠出金額は、従業員数から計算される。従業員に子どもがいるかどうかは関係ない。独身であっても、厚生年金加入者全員が対象となる。社会保険廊は雇用者と従業員が折半で負担しているが、この拠出金は、全額を雇用者が負担する。なお、国民年金ではこのような負担はない。だから、公平性の点でも大いに問題だ。

(中略)これは、結局のところ、法人税と同じようなものだ。法人税増税とすると目につくので、こうした方策が取られたのだろう。

 

 従業員を増やすほど雇用主の厚生年金負担が重くなるのですから、中小零細企業の雇用増や賃上げに少なからず影響があるのではないでしょうか。

 野口氏は二つ目の問題点として、後期高齢者保険が支援金制度の対象になっていることだと主張しています。

 

 今回考えられている支援金制度でとくに問題なのは、後期高齢者保険も対象とされていることだ。これが問題である理由は、つぎのとおりだ。

 健康保険料は課税所得に基づいて計算されているが、この中に金融資産から生じる所得は含まれていない。これは、所得税において分離課税されているからだ。

 裕福な高齢者の所得は、資産所得である場合が多い。そして、金融資産からの所得は健康保険料には反映されないから、支援金制度を導入しても、負担が増えることはない。(中略)

 後期高齢者保険での支援金は75歳以上の人が同じように負担するのではなく、労働所得の多い人が負担するのだ。

 

 とすれば、後期高齢者と謂わず、早期に潤沢な資産形成を果たして労働参加しない方が良いと考える方が層一層増えるでしょう。一日でも長く「働いたら負け」が正論となりそうです。超高齢社会の到来は不可避なので、社会保障制度の維持を放棄するのでなければ財政と課税制度についての議論が必要です。税収増の還元は結構ですが、金融資産所得の分離課税の見直しや、消費税増税についての議論もすべきでしょう。「増税」と謂う言葉を忌避して封印してしまったがために、国民負担の構造が歪になってしまった。残念ながら今の政府では其の修正も出来ず、問題を先送りするだけなのでしょう。