一昨日の日本経済新聞夕刊に、出生数の減少についての文面がありました。曰く、出生数が60万人ベースになっても、従前百万人ベースで分けていた収穫を60万人ベースで分けるとすると余裕だと謂えないか、との論調でした。
社人研の推計では、出生数が60万人を下回るのは2058年です。足許2022年の出生数が推計よりも8年早く80万人を割り込んだことを勘案すると、2045年頃には60万人ベースになるかも識れません。理由は、既に女性の半数は出産可能年齢を超えた50歳以上だからです。2045年には生産年齢人口は5,028万人(▲2.423万人)、高齢者人口は3,704万人(+83万人)となり、生産年齢人口一人当たりの高齢者数は0.74人(+0.25人)となります。(※()内は2020年対比)加うるに、高齢者の内800万人が認知症を発症すると謂う推計もあります。認知症の治療薬は、遠からず日本でも開発承認されるでしょうが、米国で承認されたアルツハイマー治療薬「アデュカヌマブ」の販売価格は年間略610万円です。将来的に個人の医療費負担割合が増えれば、家計に与える影響は少なくありません。
次元の異なる少子化対策が必要なことは論を俟ちません。しかし、子育て世代の負担を緩和するには、介護に関する政策も併せた検討が急務ではないでしょうか。日本の人口ピラミッドは、益々不釣り合いに上が大きくなっていきます。愈愈手詰まりとなってから「政策として高齢者は集団ーー」なぞと謂うことだけは避けなければなりません。
勿論、杞憂だと信じています。