うちのふうふとエイトのこと。

黒トイプーのエイトや車。ふうふの日常について。

電話より怖いもの。

 

 株式会社ソフツーの調査によると20代の7割以上が電話に苦手意識を感じているそうです。「会社の電話に出られない」と謂う理由で退職する「電話恐怖症」の若い方も増えているとか。固定電話の契約数は1997年をピークに逓減していますから、此れは當然の帰結かも識れません。

 だんなも新入社員の頃は、会社の電話を取るのは気の進まない仕事でした。取引先の社名や、担当の部署、氏名が聞き取れずに取り急ぎ先輩や上司に取り次ごうとするのですが「そんな会社識らん。ちゃんと聞き直せ」と謂われて再度電話の相手に聞き直します。電話口では「急ぎなんだから二度手間を掛けさせるな」と叱られ、社内では「電話もまともに取れないのか」と吐き捨てられる。而して縷縷掛かってくる電話を取るのに躊躇していると、上司に激詰めされます。曰く「お前は未だ会社に何の貢献もしていない。そんな新人が電話を取るのが遅いために、先輩や上司が受けざるを得ない。会社のために稼いでいる者の時間を奪うな」。申し訳ございません。

 苦情の電話を受けることもあります。上司に引き継ごうとすると「お前が受けた電話なんだから、自分で何とかしろ」。重ねて申し訳ございません。うろうろと応対していると、上司がいきなりフックスイッチを押します。當然電話は切れてしまう訳ですが、一向に気に掛ける風も無く「電話が長い」。重ね重ね申し訳ございません。當然だんなは部署名と名前を苦情相手に伝えていますから、轟然即座に電話が掛かってきます。受話器の向こうから罵詈雑言の嵐。私の不手際を衷心より深謝致します。

 仕事上の電話では受けるときも掛けるときも、瞬発力と俯瞰力、地均しと散らからない様にする組み立てが必要です。一朝一夕には中中身に付きません。先輩や上司の遣り取りを耳をダンボにして聞いて真似をしたり、10日間で電話を千本掛ける、通称「電話千本ノック」を打ったりと色色試した憶えがあります。慥かに愉しい思い出とは謂えませんね。一応、東京プライム市場上場企業での咄です。

 ために、電話が怖いと謂う心裡は良く理会出来ます。どうしても克服が難しい方もいらっしゃるでしょう。残念ながら、当面は電話と謂うツールは未だ完全には無くならないでしょう。自分に合った働き方や職場で不安無く仕事をする方法を探すのも大切なことです。ご自分のためにも会社のためにも。

 だんなは卑怯者なので、電話が苦手そうな仕事相手には先手を打って電話します。交渉を有利に進め易いからです。条件交渉で言質を取ったら、電話を終えたあと透かさずメールをして証跡を残します。我ながら卑小な奴ですな。

 電話よりも怖いもの。其れは受話器の向こうに居る人間なんです。