うちのふうふとエイトのこと。

黒トイプーのエイトや車。ふうふの日常について。

都合がいいもの。

 

村田沙耶香氏の「コンビニ人間」を読みました。根が須く平平凡凡に出来ているだんなには、最近共感できる小説に中中出逢えません。該作もその一つ。いやあ、こう謂う人居るよねえ、と一定の理会は出来るものの、根がつまらない人間であるだんなは瑣末な過程に違和感を憶えると、凡てが肚に落ちていかないんですね。

主人公が小学生時代。同級生男子の喧嘩を止めるために、一番合理的で手っ取り早い方法だからと、一人をスコップで殴り倒します。当然、親が学校に呼び出されたりするんですけど、意外に大事にならない。14歳未満ですから刑事責任は問えませんが、だんなが被害者の親だとしたら、そんなに簡単には納得できないと思うのです。

主人公は、命の尊厳に対する尊重がありません。父親は遠い街を訪い、娘にカウンセリングを受けさせるのですが「愛情を持って見守りましょう」みたいな当たり障りの無い診断しか得られない。いや、無理筋。担当医と経緯を聢と共有していれば、そんな犯罪者予備軍を現代の心理学が放置するでしょうか。病名が与えられ、相応の治療が施されるでしょう。主人公の人格や生き方を否定する意図は毛頭ありません。ですがリアルの裏打ちが無い。だんなのような小物は、そうした展開が粗粗しいと感じてしまうのです。主人公は「コンビニ人間」として生きる自分に合理性を見ていますが、だんなの乏しい人生経験では、現実社会との整合性に得心出来ませんでした。だんなの読解力が不足しているためだと思いますけれど。少し間を置いて再読しようかと思います。