うちのふうふとエイトのこと。

黒トイプーのエイトや車。ふうふの日常について。

弥縫策。

 

賃上げの機運が高まっている、と謂う論調の記事やニュースを目にします。岸田文雄首相も施政方針演説で「新しい資本主義」や「構造的な賃上げ」に触れています。でも、脳味噌の軽いだんなには、ちょっと何謂ってるか分からない。

新しい資本主義では、働く人への分配の強化を図り、次の中間層の拡大と少子化対策、看護・介護・保育などの現場に働く人の収入増加を目指すとしています。中間層の衰退、則ち格差の拡大については、日本のみならず欧米でも格差拡大を加速する社会問題として顕在化しています。岸田政権の掲げる「成長と分配の好循環」と格差縮小は達成可能なのでしょうか。政府は賃上げしやすい地合を醸成するため、賃上げ税制を抜本的に拡充したとしています。大企業では最大30%、中小企業では最大40%まで引き上げる内容ですが、抑、企業の大半は赤字です。黒字で税金を支払っている企業はせいぜい3割程度とされていますから、税金控除が賃上げのトリガーになると謂う主張は論拠が弱い気がします。

「構造的な賃上げ」についてはどうでしょう。人への投資とリスキリングによる学び直し、加うるに労働力の流動化促進により、労働生産性の向上を実現し、構造的な賃上げを達成する、と謂う方針のようですが、だんなにはちいとむつかしい話です。自己投資や自己啓発によるスキル獲得・拡充を果たせば、その人の労働生産性が向上する。漠とは理会出来ますが、はて労働生産性の定義はどうでしたかしらん。

付加価値労働生産性であれば、 

付加価値÷労働量(労働者数×労働時間)

となります。数式に従えば、分子の付加価値を増やすか、分母の労働力を減らせば、労働生産性は向上することになりますが、雇用と収入維持を前提とすれば付加価値を上げる一択しかありません。企業は毎年賃上げ率以上に付加価値を高める、「成長」が継続可能であることが「構造的な賃上げ」の前提条件です。少子化の進行で人口が逓減する日本で、経世済民の規模を拡大することは容易ではないでしょう。ために、少子化対策が急務なのは間違いありません。「異次元の」なぞ訳分からん枕詞はどうでも良いですけど。

話を戻します。付加価値が思うように逓増しなかった場合、労働生産性を上げるには、労働量を減らすしかありません。労働者数か労働時間を削減するリストラクチャリングです。加うるに、科学技術革新が進めば、必要労働者数は減っていきます。最早なんとしても付加価値を増やすしかありませんが、はて付加価値の定義はどうでしたかしらん。

澤上篤人氏の「暴落相場とインフレ 本番はこれからだ」から、付加価値の定義を拝借させて戴きます。

①人件費

減価償却

③研究開発費

④賃借料

⑤支払い利子

租税公課

⑦利益

①から⑦の総和が付加価値総額であり、その企業の社会的価値となります。⑦以外は凡て費用項目ですが、なぜ費用項目の増加が企業価値の増価となるのかは、該書にて。

結句、的を射ず、当を得ない税制改正なぞは賃上げのトリガーたり得ないのではないでしょうか。

 

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