荻原博子さんの「買うと一生バカを見る投資信託」を読みました。冒頭に、だんなが思っていることと全く同じ論断がありましたので、引用します。
今、日本では、政府の経済政策である「新しい資本主義」が進行中です。
国民の所得に関しては、岸田首相が自民党総裁選に出た際は「令和晩・所得倍増計画」を掲げておりましたが、いつの間にか「資産所得倍増計画」と、知らないうちに「資産」が頭についています。(中略)
そもそも、資産所得とは、投資から得られる利息や配当、保有している資産を売却することによって得られる売買益のことです。投資にお金を回す余裕のない人には全く関係ない話なのに(後略)
仰る通りで、所得倍増と資産所得倍増とは全く非なるものです。「残念ながら、所得倍増は無理なので、滞留している預貯金を投資信託や株式で運用して、不労所得を増やして下さい」と謂うことをしれっとやっておられる。加うるに、賃金や報酬が増える場合、労働条件が不変であればリスクはありませんが、一方投資には常に一定のリスクがあります。其処は識らぬ顔の半兵衛を決め込む面の皮の厚さ。抑、当たり前の話ですが資産のない人に資産所得はありません。現在資産所得がある人でも、倍に増やす為には綿密に練った投資戦略に加えて、投資機会にも恵まれる必要があると思います。本書でも触れていますが、所謂「ほったらかし投資」では「倍増」は難しいのではないのでしょうか。令和4年11月28日の第13回「新しい資本主義実現会議」の資料にも、「第一に、投資経験者の倍増を目指す」、「NISAの総口座数を倍増させる」、「NISAの買付額を倍増させる。その後、家計による投資額の倍増を目指す」と母数を増やす話ばかりで、所得はどこへ消えた。これ亦たしれっと、「長期的な目標としては資産運用収入そのもの倍増も見据えて政策対応を図る」と結んでいます。今のところ具体的な工程表もなし。
リターンを得るにはリスクテイクが前提ですが、リスクの実体が把握できなければ資金は投下できません。政策対応もリスクの一因と考えれば、だんなには賽を投げる勇気は出ません。ちょいと様子見を決め込むとしましょうか。