うちのふうふとエイトのこと。

黒トイプーのエイトや車。ふうふの日常について。

ぼんやりした不安。

 

 今日の日経新聞朝刊記事によると、薬販売の対面義務を撤廃するそうです。厚生労働省規制緩和により、ほぼ凡ての薬がネットで購入できるようになり患者の利便性が高まるとされていますが、抑、薬とは利便性が優先されるべきものなのでしょうか。

 だんなは医薬の分野には知識が乏しく、とは謂え今更医師や薬剤師になれる筈も無いので、登録販売者の資格を学ぼうと考えました。実務には従事していないので、単に試験に合格しただけの身ですから、偉そうなことは謂えませんが、医薬品は保健衛生上のリスクを伴うものです。近時は、若者が医薬品を本来の目的以外で不適正に使用して多幸感を得ようとする、所謂「オーバードース(日本では何故かオーバードーズと発音されることが多いようですが)」も増えているようです。

 対面販売を行う薬舗では、医薬品のリスク区分に応じた陳列や管理がされ、適正使用に必要と認められる数量を販売することが求められています。慥かに薬舗の無い地域では非対面販売は有用だとは思いますが、嘗ては一般医薬品で重篤な副作用が起きた事例もあります。

 通説では、文豪芥川龍之介の死因は「ベロナール」と「ジェノアル」と謂う睡眠薬の過剰摂取(オーバードース)だったとされています。亦た、自殺の原因は芥川が遺書から「ただぼんやりとした不安」だそうです。

 「どうせ生きているからには、苦しいのは当たり前だと思え」と語っていた芥川は、而して35歳の若さで自裁してしまいました。やはり「人生は地獄よりも地獄的」だったのでしょうか。

 不安を抱えて生活するのは辛いことですが、一時の高揚を感じる手段としてオーバードースを恃むのは危険極まりない、自傷に等しい行いです。哀しいのは、おそらく其れを理会しながら、過剰摂取をしている人たちが少なからず居ると思われることです。吾吾大人たちが若者の「ぼんやりした不安」に寄り添うことで、少しでも薬の使用量を減らすことが出来るでしょうか。岸田総理大臣も「異次元の少子化」を掲げるならば、今の日本に蔓延している「ただぼんやりとした不安」を晴らすような政策運営をして戴きたいものです。