衆人環視の中で強行し高級時計を略取した事件。場所が銀座の中心街で、実行犯が高校生を含む十代の若者であった等諸諸者恐ろしい犯罪行為でした。通行人等に危害が及ばなかったのは不幸中の幸いかも識れませんが、該店はロレックスを中心とした時計を扱う専門店とのことですから、被害額は相当に大きいのでしょう。
ロレックスに関しては世界的に需要が供給を大きく上回り均衡が崩れています。転売目的で新品を索めて購める人も少なくないとか。転売を前提に時計を購うと謂う行動原理思考回路はだんなには理会できませんが、打歩で利を得たい、或いは正規の価格に追錢を叩いても掌中にしたいと希求する御仁が各各一定数いらっしゃるのでしょう。需給均衡の不調和が二次市場を産生する典型例です。
個人間の転売であれば、相互合意に基づき違法ではありません。然し乍、正規の販売価格に大きな打歩が付加される市場が成立してしまうのは如何でしょうか。穿った見方をすれば、反社等の資金源にされる畏れ等の懸念も排除出来ないと思います。ブランド価値を維持する努力を否定するつもりは毛頭ありませんが、ハイブランドであれば自社製品の経世済民や社会秩序への影響を考慮して哲学を律するべきです。
抑、ロレックスはハイブランドなのでしょうか。時計に於ける世界のビッグスリーと謂えば「オーデマピゲ」「パテックフィリップ」「ヴァシュロン・コンスタンタン」です。ロレックスは入っていません。何なら五大ブランドにも入りません。理由は幾つかあるのでしょうが、創業からの歴史、加うるにロレックスが複雑機構の時計を製作しない実用時計だからでしょう。
ロレックスは値は張りますが、本来不断使いの時計です。偶に金に飽かせてギンギラギンに然り気無くない宝飾モデルをしてる御仁もいらっしゃいますけどね。
結句、ブランドも工業製品です。価値だけが孤歩して延いては犯罪を助長するなぞ以ての外です。成るも成らぬも金次第よりは、一物一価の法則が機能する世の中の方が良いなと思うのですが。でもヴァシュロン一台欲しいなあ。
