うちのふうふとエイトのこと。

黒トイプーのエイトや車。ふうふの日常について。

蛇は寸にして人を吞む。

 

 世界で最も美しい車に挙げられることも多く、神の造形と謂われる「アルファロメオティーポ33ストラダーレ」は、1967年から1971年の4年間に僅か18台のみが生産された伝説の名車です。加うるに、其の内の5台はコンセプトカーであり、実際の市販車は13台に過ぎません。アルファロメオの市販車として、初のミッドシップに搭載するのは2立米230馬力のV型8気筒内燃機。車体は総アルミニウム製で700kgと軽量で、最高速度は260km。ストラダーレ(公道走行車)を名乗りながら、内実はコンペティツィオーネ則ちレーシングカーと謂う、本當に雲上の存在です。

 

 

 然し此のアルファロメオと謂うメーカーはぜんたい面白い。優に100年を越える歴史を自ら繙き、伝説を再び現代に於いて具現化させた。56年の時を経てて再解釈した「33ストラダーレ」を33台限定で世に送り出したのです。だんな的には非常に際だったオマージュで、夢のある取り組みだと思っています。価格は3億円超と、一部の富裕層でなければ手の届かないまさしく「雲上の存在」で、夢の亦た夢なのもいっそ潔い。

 

 

 蛇は寸にして人を吞むとは、優れている人物は幼い頃から常人とは違っていることの喩えです。蛇は僅か一寸足らずでも、人を呑み込む気魄を吞んでいる。慥かに他に類を見ない意匠には息を吞まずにはいられない。残念なのは、この一台が手に入らないことは勿論、50年後に革めて「神の造形」と謂われるのか如何か。其れを見届けられないことです。