うちのふうふとエイトのこと。

黒トイプーのエイトや車。ふうふの日常について。

聴く者の下地か伝える者の素養か。

 

ベン・ブラッド氏の「数字が明かす小説の秘密」は名著です。興味深く面白い。著者は作家にして統計専門家なので、小説を解析する手法が秀逸です。喩えば。

ルドルフ・フレッシュと謂う人物が導出した数学的公式は「どんなテキストでも、単純さもしくは複雑さを計測できる」。「フレッシューキンケイド学年レベルテスト」と呼ばれていて、公式自体も至って単純。2つの分数に数値をかけ、合計します。

0.39×(単語数の合計/センテンス数の合計)+11.8×(音節の合計/単語数の合計)ー15.59

フレッシュの説明によると、このスコアがテキストを理解するのに必要な学年に対応している。もしある本がグレード3だとしたら、3年生(以上)には理解できると想定されている。

では、公式は何に役立つのでしょうか。だんなは識りませんでしたが、亜米利加では巷間に馴染んでいるようです。

アメリカの政治を追いかけている人であれば、年に一度、一般教書演説の際にフレッシューキンケイドは公式が登場するのを目にしているかもしれない。演説の複雑さを判定するのは、いまや人気の娯楽になってきている。(中略)大統領による年に一度の一般教書演説は、1900年以前の18年生レベルから、1900年代には12年生レベルに落ち、2000年代には10年生如何に沈み込んでいる。

フレッシュ・キンケイド・グレード・レベル(中略)FKGL)は、数値が大きいほどテキストが複雑であり、高学年でないと理解できないことになります。一般教書演説は年々衆愚化し「バカになっている」のです。数値上では。しかし、より幅広い聴衆に届く演説に洗練されていると捉えることも出来ます。

FKGLはマイクロソフトのWordで算定することも出来ます。ホワイトハウスのHPから、2023年2月7日のバイデン大統領の一般教書演説を引いて検証してみました。学年レベルは7.5です。次いで、岸田総理大臣の施政方針演説を検証します。FKGLは日本語には馴染まないので、概ね当てずっぽうと謂えましょうが、結果は30.2でした。えらくむつかしいですねえ。難解とされるウィリアム・フォークナーの「響きと怒り」ですらFKGLは20ですから、岸田総理大臣の思考水準には、だんななぞとても追いつけません。ちいと下の方にお越し願いませんでしょうか。むつかしいことはやさしく説いて戴かないと、脳の軽いだんなは困っちまいます。作家の井上ひさし氏も仰っていました。「むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをおもしろく、おもしろいことをまじめに、まじめなことをゆかいに、そしてあくまでもゆかいなことはゆかいに」

どうか、よろしくお願いいたします。

 

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