うちのふうふとエイトのこと。

黒トイプーのエイトや車。ふうふの日常について。

天を翔ける淑女。

 

1906年に英国で設立されたロールス・ロイス。高級車の代名詞と認知され、「壊れない車」を創り続ける自動車の極点に立つブランドです。ゴースト、ファントム、スピリット、シャドウなど触れられず実体を持たないものを車名に戴くのは、静粛性と永遠性を象徴しているからだと謂われています。ボンネットの先端には、広げた翼を立てて風に向かう優美な女性の像、フードクレストマークが立ち、一層端厳に全体を整えています。

ロールス以外にも、ベントレーのウイングドB、ジャギュアのリーピングキャット、メルセデスのスリーポインテッドスターなど、以前は様様なフードクレストマークが点睛の役を担っていました。鑑賞も愉しいクレストですが、安全性向上を企図した国際規格の統一により、車の外部突起に関する保安基準が改正されます。ために、多くの象徴たちは構造を喪い平板な紋章に姿を変えてしまったのです。

フライングレディ、公式にはスピリット・オブ・エクスタシーは、現在も地位を維持し往時からの位置に居座しています。彼女に衝撃が加わると、瞬時に車の内部に格納される結構を備えているためです。当然にコストが嵩みますから、ロールスの様に高級車に特化したブランドならではの矜持でしょうか。

10月18日、ロールス・ロイスはブランド初の電気自動車である「スペクター」を発表しました。内燃機が電動機に変わっても、彼女は健在でした。創業者のひとり、チャールズ・ロールズは100年以上前に電気自動車を定義しています。いずれレディは空を飛ぶ自動車の先端で、風を切っているかも知れません。

 

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