今週のお題「手帳」 初めて今週のお題で雑文を書きます。エンディングノートという単語が広く使われるようになったのは、同題のドキュメンタリー映画が2011年に公開されたことが契機とか。死後、家族や友人に自分の考えや思いを書き残す手控えを示すこの言葉は、和製英語のようです。翻訳サイトに英文で入力したところ「エンディングノート」と、質問に質問で答えるような、木で鼻をこくったお返事をいただきました。
エンディングノートに残す内容は人それぞれでしょう。思いを記す対象物も、革表紙の重厚な手帖であったり、携帯性に優れた掌中におさまる小さなものであるかもしれません。
亡くなる少し前、父が「エンディングノートを書き始めた」と話したことがあります。脈絡も持たず、ぽつんと言い置いた様子でした。
一七日後にひきだしを整理していたら、茶革の表紙を掛けた新書サイズの手帳が見つかりました。父が言っていたエンディングノートでしょう。中に遺していたのは使っていた手提げ金庫の開け方と、父が社会人になってからの勤務地や勤め先をまとめた履歴。それだけでした。
