うちのふうふとエイトのこと。

黒トイプーのエイトや車。ふうふの日常について。

瑞獣。

 

下野国那須原にある国指定名勝の殺生石が瓜切りに割れているのが事触れされたのは2022年3月5日。鳥羽上皇の寵姫玉藻前に化身した九尾の狐狸は、千古不易の勲しき陰陽師安倍晴明直系卑属である安倍泰成に得体を看破され、退治られ石となりました。石に変じてからも、散じる瘴気が多くの命を簒奪。ために殺生石と呼ばれています。九尾の狐狸を封印していた石が割れ、凶事の験ではないかと江湖の話頭にのぼりました。

新型光冠病毒因子変異株の亜種、「ケンタウロス」。従来の亜種に対して極めて異質であるが為に、希臘神話の半人半馬の民族から借名したそうです。異質が由来で借名するのであれば、同じ希臘神話にあってテーセウスに退治られる牛頭人身の「ミノタウロス」の方がより適任ではないでしょうか。

ケンタウロスには出自が諸諸ある様ですが、ケイローンと謂う賢者は、医学の祖とされ、人材輩出にも力を尽くしました。ケイローンは不死身でしたが、ヘラクレスが放った毒矢に射貫かれた膝の苦痛から逃れる為に、自ら死を選びます。憐れんだゼウスは、彼を人馬宮として夜空に象りました。ミノタウロス自身は星座にはなっていませんが、彼の父牛を糠星に象ったのが金牛宮とも謂われています。

画家パブロ・ピカソは、1933年頃にミノタウロスを画題とした複数の画業を遺しています。ピカソは暴力と肉欲に支配されたミノタウロスに自身を投影し、軈て滅ぼされる者と定義していたようです。太宰治が※自分を滅ぼさるべき滅亡の種族だと痛切に自覚し、最も愚劣な形「悪徳の見本」となることで、この世の真実を描こうとした※ことと通ずるものを感じます。(※~※参考文献 人間失格解説 奥野建男氏)

九尾の狐狸は、この世の動物の長で吉兆の験として現れる霊獣、瑞獣でもあります。脳の軽いだんなは、九尾の狐狸は悔い改めて刑期満了。晴れて吉兆を呼ぶ瑞獣として野に放たれたのだと思っています。

吉兆とは。ヘラクレスが顕現し、ケンタウロスに一矢を射るのか。ケンタウロスミノタウロスに変異して、滅ぼされる者となるのか。或いは悪徳の見本を痛切に自覚して自裁するのか。ケイローンの医学が跋扈する同族を一掃してくれるのか。なぞ軽い脳味噌で考えても、下手の考え休むに似たり。では、失礼してお休みなさい。果報は寝て俟て。みなさんがマスクをしていない夢が見られますように。