生野菜を多く摂ることが厄介になりました。おくさんもだんなも菜鉢に山盛りの、いくらなんだって馬じゃねんだから、ってぇくらい野菜をやっつけていたのにです。加齢が起こりなのでしょうね。
向田邦子さんのエッセイ「食らわんか」に、ああ食べたいなと思うサラダの調理法を見つけました。トマトの青じそサラダです。「トマトを放射状に八つに切り、胡麻油と醤油、酢のドレッシングをかけ、上に青じそのせん切りを散らせばでき上がりである」。
伊丹十三の「サラダにおける本格」からもう一つ。「もっと賑やかなサラダを好む人にはサラド・ニソワーズがよろしかろう。(中略)まずサラダ菜、胡瓜、トマト、セロリ、玉葱、赤蕪なんぞの野菜に、罐詰の鮪、アンチョビィ少少、それから茹玉子を輪切りにしたものをどっさり入れて、最後に黒いオリーヴの実をあしらうのである」。
伊丹氏はドレッシングやマヨネーズを自分で作ることを強く推奨しています。「既製品のドレッシングを使う人は、人間も既製品だ」と手厳しく、「自分で作ったマヨネーズというのは断然うまいのである」と。然らば即ち、氏がテレビCMに出演していた味の素のマヨネーズは本当に美味しいのかしらん。
こちらであれば縷縷胃袋に納められそうです。まさに酒菜としても定石でしょう。
切に早速おくさんに料って頂きたい…。
仏蘭西には苛苛しているときはマヨネーズを作ってはいけない、という言い伝えがあるそうです。明るく和やかな心持ちで窓を開いて作ると出来具合が良いのだとか。
あ、おくさま。お忙しいと思いますが、ちょっと取り立ててご相談したいことが…。