庭で落葉焚がてらに焼き芋を料る。法律や条例もあり、切り結ぶには却却骨の折れる案件になってしまいました。焚き火を楽しむにも、安全が担保出来る器材を揃えて野営地に出向いてとなれば、荷も腰も重くなるばかり。
祖父の葬儀に列席する為に父の家郷に帰省したのは、二十年ほど前。父は五十代、今のだんなと同じくらいでしょうか。告別式の翌日、父は祖父の部屋を取り片付けました。畠の真ん中に置いたドラム缶に火を焚き、躊躇いなく遺品を投げ込みます。入相の紫に佇む山を後景に鉛丹の火に照らされた父からは、異見を峻拒する断固とした情調が滲んでいます。遠間からなので、表情は見取れませんでした。
今秋には父の三回忌を迎えます。母がかなり整理しましたが、だんなは父のものには手が付きません。親の死と向き合う覚悟が足りなかったのでしょう。お前はそんな愚図だから五十を過ぎても何ものにもなれないんだ、と叱られそうです。
さて、どうして思い切ったものか。木枯しの寒い道を、おくさんと相談しながら歩いていこう。
かきねの かきねの まがりかど
たきびだ たきびだ おちばたき
焼藷を二つに割つてひとりきり 西野文代