うちのふうふとエイトのこと。

黒トイプーのエイトや車。ふうふの日常について。

まむし。

 

関東背開き、上方腹開きといえば鰻。上方ではご飯の間に蒲焼が入った鰻飯を、まむしと言うと仄聞したことがあります。上方流は江戸前と異なり地焼きで、間に蒸す工程がないので、聞初んだ時には疑点が残りました。鰻飯(まんめし)や飯蒸し、間蒸しを由来とすると知り、宜なるかな

切腹を忌む江戸っ子が背から開いたとも言われますが、蒸した鰻が崩れないよう身の厚い背中から串を打つ為というのが、背開きの本筋らしい。腹開きの方が手のこなしが難しいとか、江戸割きや大阪裂きのように土地によって道具も変わるなど、興趣滾滾尽きない題目です。
北大路魯山人曰く「鰻の焼き方であるが、地方の直焼、東京の蒸焼、これは一も二もなく東京の蒸焼が良い」。明治期の俳優伊井蓉峰は、「うなぎは皮があって無きが如しを上とするもんだ。皮の堅いのが良いなんて客があるにいたっては、もううなぎもおしまいである」と。だんなは上方地焼きの鰻を食べたことがないので、これは判然としません。宿題と致します。
ふうふはまだ外食を自粛しています。おみやげにして、ふっくらとした鰻が乾いてしまうのは何とも情けない。子母澤寛の「蒲焼の長命術」によると、いい酒を土鍋で炊いて酒精を飛ばし、そこに蒲焼を1分漬ける。獅子文六も同様に酒を煮立てて、これは5分ほど蒸らすが宜しいと。思い当たりましたが、おくさんは常こうして料っておりました。
江戸前も時代とともに「場違い」や「江戸後ろ」と言われた水域にも版図を拡げているようです。鰻料理は待つのが道理。それは弁えておりますし、江戸前の天然物なんて贅沢はゆめ申しません。早く安心してお店で鰻料理に舌鼓を打ちたいものです。
 

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