<p>今週のお題「復活してほしいもの」</p>
大きいですよね。車の形をしていたり、ディスプレイがついてスマートフォンと見紛うものもあります。内燃機の始動や扉の開閉も、釦を押す類型が主流。錠に鍵を挿して捻る様式は、絶滅危惧種への土壇場に立たされています。
今様の呼び方は様々ですが、中には「キーレスキー」という方法的懐疑を提起するようなものもあります。すぐに失くなりはしませんか。コギト・エルゴ・スム。
たなごころにころりと収まる細身の鍵。こくりこくりと指先に振動を感じると、ぶるんと内燃機に火が入る。小さな鍵で大きなものを揺り起こす感覚に心弾みました。
未来の車はなにで走り、なにで始動するのでしょう。内燃機は消えゆき、鈍色の薄い小さな鍵が復活する望みも儚い。効率よく進むものごとに、遅れてあとを追いかける燃費の悪い身としては懐旧の情を抱くばかりです。