うちのふうふとエイトのこと。

黒トイプーのエイトや車。ふうふの日常について。

伊丹十三著 女たちよ!。

日付に材を取ったわけではないのですが、昨日の記事からの着想もあり。

自身の装画が取り合わされた著書のカバーをひらくと、袖に氏の人物像が紹介されています。映画俳優、デザイナー、エッセイスト、映画監督。テレビ番組やCMの名作も多数手がけたとあります。多才に加えて、博聞強記。多趣味で広く知見の高い方だったようです。

だんなが生まれた1968年に開版されたエッセイ、「女たちよ!」には、スパゲッティの正しい調理法、目玉焼きの正しい食べ方、スポーツ・カーの正しい運転法など凛としてぶれない、示唆に富んでいて惹きつけられる才筆が詰まっています。車オタクのだんなは、格別「猫のあしあと」という一文が大好きです。伊丹氏いわく、赤が似合うのは小さなスポーツ・カーを置いてなく、さらに少し薄汚れている方が宜しい。持説に従い、ご自分の赤いロータスエランに埃が積もるままに任せます。これに猫が歩いたあしあとがつくに至り、理想の芸術的な汚れが完成したと快哉ロータスエランをして「雨具や履き物の部類」と定義し、傷やへこみも直さないという潔さ。車は道具だから、使い倒し乗りつぶしてこそ本懐という達見でしょう。貧乏性のだんなはとても真似できません。

最初に読んだのは高校生の頃。今から30年以上前です。この本が半世紀と少し前に上梓されたとは驚きです。今も輝きを失わない、不世出の才能がつむいだ一冊。薄汚れたおじさんが恰好良く見える妙案を読み飛ばしていないか、念入りに再読したいと思います。

f:id:eight8eight_888:20220114061903j:plain