うちのふうふとエイトのこと。

黒トイプーのエイトや車。ふうふの日常について。

読書

都合がいいもの。

村田沙耶香氏の「コンビニ人間」を読みました。根が須く平平凡凡に出来ているだんなには、最近共感できる小説に中中出逢えません。該作もその一つ。いやあ、こう謂う人居るよねえ、と一定の理会は出来るものの、根がつまらない人間であるだんなは瑣末な過程…

火花の対極にある破局。

日本経済新聞の連載書評記事に「半歩遅れの読書術」があります。だんなは旋毛曲がりの臍曲がりですから半歩どころか三歩くらい、殊にベストセラーや文学賞受賞作品なぞは、巷間の潜熱が聢と冷めてから読む癖を持っています。 ために、今更ながら又吉直樹氏の…

弥縫策。

賃上げの機運が高まっている、と謂う論調の記事やニュースを目にします。岸田文雄首相も施政方針演説で「新しい資本主義」や「構造的な賃上げ」に触れています。でも、脳味噌の軽いだんなには、ちょっと何謂ってるか分からない。 新しい資本主義では、働く人…

浮世根問。

加速度的に速くなる世の中の流れに、だんなの軽い脳味噌では棹さしても流されるばかり。黴の生えた知識を少しでも革めようと、無駄な抵抗をしています。仮面ライダー1号の本郷猛のように、知能指数600もあれば苦労しないんだろうなあ。 ちゃんと知見として使…

青は藍より出でて藍より青し。

漸く宿題図書の一冊、藤澤清造の「根津権現裏」を読み終えました。病苦に苛まれ、貧苦に灼かれる日乗と友人の自裁に関する種種、と謂う要約はやや乱暴に過ぎるでしょうか。該作は西村賢太氏が「歿後弟子」を自称するほど傾倒し、氏の注力により2011年に新潮…

苦しいときの神頼み。

ユニクロなどを運営するファーストリテイリングが、従業員の年収を最大4割引き上げると発表しました。末の官房長官、元い、松野官房長官は「前向きに評価したい」と言っていますが、当初の岸田首相の公約であった、「成長」と「分配」についてはそろそろ具体…

贅沢は素敵だ。

昨年の東洋経済に、哲学者國分功一郎氏のインタビュー記事が掲載されていました。SNS上の言論空間につての議論が中心ですが、だんなが興味深く読んだ部分を引用します。 メジャーな価値観に基づく正論によって批判されうる意見が、どこまでも排除される。そ…

先送りの免罪符は何時まで持続可能なのか。

斎藤幸平氏の「人新世の『資本論』を読みました。人新世の定義は本書によると、 人類の経済活動が地球に与えた影響が余りに大きいため、ノーベル化学賞受賞者のパウル・クルッツエンは、地質学的に見て、地球は新たな年代に突入したと言い、其れを「人新世」…

藝術は長く人生は短い。

トオマス・マン作「トニオ・クレエゲル」を読みました。岩波文庫版で126頁の短篇小説ですが、読過に手間を取りました。作品の主題は、主人公の少年期から青年期までの葛藤や懊悩、内省による自己の定義への帰結だと考えていますが、端的に謂うならば「重たい…

食わず嫌い。

表紙を見て、何とはなしに敬遠していたのですが。もっと早く読んでいれば良かった。詳細な感想は亦たあたらめて記事に致します。

千思万考による戦死蛮行の回避。

國分功一郎氏の「哲学の先生と人生の話をしよう」を読みました。書名の通り、哲学者の國分氏が34の人生相談に回答しているのですが、超凡なるは相談者の文面や言い回し、単語の選択までも具に眼光紙背に徹し、相談者が何を語り一方で何を「秘匿」しているか…

合衆国憲法修正第二条。

「国民が武器を保有し携行する権利は侵してはならない」。ために亜米利加社会には広く深く銃が浸透しています。憲法に裏打ちされているのですから、個人の既得権益と謂っても間違いではないでしょう。銃の乱射事件は後を絶ちませんが、規制に進む世論が尻に…

或る朝目を覚ますと活字が毒虫に変わっているのを発見した。

主人公の山田羽仁男は自殺に失敗し、どうで拾い物ならばと三流新聞の求職欄に広告を出します。 「命売ります。お好きな目的にお使い下さい。当方、二十七歳男子。秘密は一切守り、決して迷惑はおかけしません」 識らずに読んだら、著者が三島由紀夫だとは分…

何もなく他愛ない。

不安と緊張が世界を満たしつつある中で、平易で美しい文体で少しの謎を裡に秘めた短篇小説62篇は、泡のような休息の縁、過ぎ去った日乗への作者の思いに気持ちが爽やかになります。どこからでも、一篇からでも読めるのも良いですね。 今日はアルファロメオ4…

読む毒薬。

アルチュール・ランボオの詩を何十年か振りに読みました。迂闊にも忘れていましたが、ランボオには壊されそして何を壊されているのか分からない怖さがあります。読み手も「地獄の季節」にぽつりと置き去りにされてしまう。150年前に紡がれた文章は、より強い…

値札が大切なものを堕落させる。

ミニマリストと謂う単語を耳目にするようになったのは、何時からでしょう。必要最低限のもので生活する人や様式のことと理会しています。ご賢察の通りふうふは是れに当て嵌まりません。マキシマリストでもありませんけれど。コロナ禍の一時的な影響で、国内…

三度目の神正直。

三度目の正直は古くは「三度目の神正直」と謂い、三度目には本人の実力や運が発揮され、結果が良くなくてもあきらめがつく、ということ。(コトバンクより引用) デカルトの方法序説は近代思想の古典にして近代哲学の1丁目1番地と謂うべき著述です。哲学書と…

省察するエイト。

《この記事は主エイトが忠僕であるだんなに話をしながら、アンディ・ウォーホルの『ブリロ・ボックス』についての考えを整理している、と謂う体で書いています。》 ふむ、何やら鳥取県が購入した美術作品が物議を醸しておるようであるな。忠僕もポップアート…

蒲公英。

1985年に公開された、伊丹十三脚本・監督の映画、タンポポ。先日、久方ぶりに鑑賞する機会がありました。改めて補完した情報と、食文化に蘊蓄が深く知悉している氏の撰述等を欠文に連ねます。宜しければお付き合い下さい。 映画の惹句は「喜劇ラーメン・ウエ…

永久凍土。

渡辺努教授の「世界インフレの謎」を読みました。 足許のインフレの主因が露西亜の烏克蘭侵攻ではない「戦争はインフレの主原因ではない」。では何が真因か。世界のインフレに対する打ち手は何か。日本が如何に特異な環境にあり、経世済民に立ち掛かるにはど…

読書習慣。

本日10月27日は「読書の日」。11月9日までの2週間が読書週間だそうです。 さて、課題図書は山積しておりますが、何冊読めるかしらん。 まずはこの辺から、かな。

白い阿蘭陀雉子隠し。

アスパラガスの和名が阿蘭陀雉子隠しだと教えてくれたのは、團伊玖磨氏のエッセイでした。だんながこどもの頃は白い阿蘭陀雉子隠し、所謂ホワイトアスパラガスが大変に苦手でした。今は生鮮品や美味しい瓶詰なぞ容易く入手できるのでしょうが、当時食べたの…

一寸の蟲にも不死の魂。

ふむ。入浴調髪を終えて、吾輩はとてもよい心持ちである。請われたドラキュラ伯爵の扮装も似合っておるであろう。ために、さらによい心持ちである。 さて、伯爵は人間の生き血を啜る吸血鬼として名が高いが、自然界にも吸血鬼は実在し実害が出ておる。中でも…

アキレスと亀。

纏めたい記事は多多あるのですが、読むこと、理会すること、思索することがまったく追いついていません。借り物の知見知識を恃むばかりの軽い脳味噌が憾めしい。読書による学びを楽に追い越すような思索が出来るようになりたい。申し訳ありませんが、暫くは…

名付けてリテラタ警備隊。

前回の記事で、今後の世情や経済動向について過去の偉人の考えを借りて読み解きたい、と書きました。債権や株式の価値は下がり、為替相場も大きく変動した直近の様相に鑑みると、家族や家庭の私産は自分で守る必要があるのでしょう。脳味噌も財布尻も軽いだ…

自由な人間。

日乗会話に於いては、宗教は避けるべき話題とされていますが、昨今の報道では多く扱われる行きがかりとなってしまいました。頻繁に耳目にする度に、思い起こす言葉があります。 アメリカの社会哲学者で、正規の学校教育を一度も受けず、軈て思想家として世に…

十三と千。

石田千さんの「箸もてば」。なんとも嫋やかな麗筆で、めし、さけ、おかずの湯気や芳気がふうわりとして芬芬と漂ってくるようです。いずれも美味しそうが詰まった掌編なのですが、格別興味を抱いたのはきゅうりサンド。 きのうの晩は、あげものとポテトサラダ…

真実は天使の匙加減。

日本には2,000以上のゴルフコースがあるそうです。中で唯一「施工者不明」とされているのが、富士屋ホテル仙石ゴルフコース。神奈川県箱根町にある富士屋ホテル経営者の発案により1917年に開場しました。皇太子時代、夏になると該ホテルの別邸に長期滞在され…

ケ セラ セラ。

1956年に公開されたアルフレッド・ヒッチコック監督作品「知りすぎていた男」の挿入曲で、第29回アカデミー賞歌曲賞を授賞された声楽「ケセラセラ」。劇中終盤では母親が放歌高唱し、誘拐された息子を救出する端緒となる重要な役向きを担った隠れもない名曲…

居酒屋。

コロナ禍で旅行や外吞みもできない中、この本は心を軽くしてくれます。